業務改善にあたり業務の見える化(可視化)が必要な4つの理由・メリット

フローチャート

働き方改革の流れを受けて長時間労働の削減に向けた取り組みを行っている中小企業は多いです。長時間労働の削減のために何をすればよいか考えたときに、「残業時間を減らせばよい」と考えて単純に残業を制限してしまうと、労働時間がその分減ることになり、ひいては売上や粗利が減ることに繋がりますので、この対応はNGです。長時間労働の削減のために中小企業が行うことは、残業時間を制限することではなく、業務改善をすることです業務改善を繰り返し行って課題を1つ1つ解決していくことで1つずつ仕事の効率が良くなり(生産性が向上し)、その結果、長時間労働が改善されていきます。

この業務改善に取り組むに当たってまず必要なのが、業務の見える化(業務の可視化)をすることです。では、なぜ業務の見える化(可視化)が必要なのでしょうか?見える化が必要な理由やメリットについて改めて整理をしてみましたので、この点があいまいな業務改善担当者や経営者の方は、これをきっかけに考えていただければ幸いです。

業務の見える化とは

業務の見える化とは、仕事における業務や作業について、誰が・いつ・どこで・何を・どのような順序で行っているのかを明らかにして、可視化することです。「見える化」とあるとおり、情報を絵や図によって表現して、目で見える形にすることが重要です。業務を見える化することで仕事の流れを整理し、これをベースとしてどんな業務に負荷がかかっているのか課題を定義し根本原因を明らかにしていき、対応策の検討・実施・定着に繋げます。業務の見える化は、改善をする上で必要な現状把握の第一歩とも言えます。

(業務の見える化には業務フロー図と呼ばれる絵を描くこと(図解すること)が有効ですが、業務フローについては別の機会にご紹介したいと思います。)

業務の見える化が必要な理由・メリット

以下に業務の見える化(可視化)が必要な理由やメリットを大きく4つにまとめてみました。

現状認識が統一される(議論の前提の一致化)

仕事がどのように流れているのかや誰が関わっているのかについては、仕事を毎日している当人にとっては当たり前のことであり、見える化をする必要性すら感じないかもしれません。しかし業務改善する上で重要なのは、関係者と現状認識を合わせてから問題点や改善策を議論していくことです。現状の認識が合わない状態で議論を進めてしまうと、中々前に進まなかったり手戻りが発生してしまう可能性があります。

例えば、いきなり業務課題の検討から入った場合、どうなるでしょうか。現状の仕事の流れは誰もが同じように理解しているという前提から入っているため、各人が頭の中で思い描いている業務の流れの中で細かい部分で異なっていても、それ自体を認識することが出来ません。その細かい部分はどこにも見えませんので、自分が言ったことが受け手側では違うことに捉えられてしまったり、相手が発言している前提が自分に無いために理解できないということが発生することも想定されます。これらのズレは、前提があっていても発生するものですので、前提があっていない状態では更に複雑に絡み合うことが目に見えています。

よって、関係者各位の業務の流れの現状認識はあっていないものとして考えて、業務の見える化をすることが重要です。業務の見える化をすることで現状の流れを整理しつつ、「この部分はこうじゃないか?」といった意見を議論の前に出してすり合わせていくことで、関係者全員が現状の業務の流れに対して同じ前提認識をもつことができます。

手順が明確化されて気付きを得やすくなる

業務の見える化(主に業務フローを作ること)をすることで、仕事という1つの塊が、それを構成する単位(業務や作業)に分割されることになります。誰が・何を・いつという情報が見えるようになりますので、各作業の因果関係や関連性が見えてきます。これにより、次のような気付きを得られると想定されます。

  • 普段当たり前と思っていた業務が、そもそもなぜ行っているのか説明ができない
  • ある部署や担当者に負荷が意外に偏っている
  • 念のためにという理由で行っているチェックが多い
  • 同じような作業をあちこちで行っている
  • 使われないアウトプットを作る作業をしている
  • 過度なやりとりを行っている
  • 待ち時間が長い

見えることにより自分も相手も「考えて、気付く」ことが出来るようになります。見えないものに気付くことは中々難しいものです。

相互理解が促進される

例えば、自分の業務の流れを関係者に言葉で伝えて、それをベースに課題の議論をしようとした場合、自分が言ったとおりに相手は受け取ってくれない可能性があります。聞く側の頭の中では次のような動きになっています。

  1. 言っていることを把握する
  2. 言っていることから流れをイメージする
  3. 分からない部分は自分が思うとおりに補完する(質問した場合でも)

言葉だけで現状の説明を行ってしまうと、頭の中で相手の言っていることを理解しようとすることにまず集中してしまうため、それを元に何かを考えるというところまで余地がまわりにくいという部分があります。

自分の業務の流れを言葉で伝えたところで、聞く側が自分が思っている通りに受け取ってくれるとは限りませんし、自分の頭の中を他人は見ることが出来ません。なので、頭の中で思っている業務の流れを見える形にすることは、自分の業務を相手に正しく理解してもらうこと、相手の理解の促進に大きな役割を果たします。

業務全体が俯瞰できる

全社的に業務の見える化をすることで、自分が関わっていない業務も、これを見れば流れを把握することが出来るようになります。これにより、自分の業務範囲以外にも目が行くようになりますし、これまで目に見えていた課題ではなく、見えていなかった課題を優先的に対応したほうが良いという気付きにつなげることも出来ます。また、関わりが少ない人からの意見を貰うことで、当事者同士では気付かなかった新たな発見にも繋げていけると思います。

まとめ

業務の見える化をすることで、現状認識の統一をまず行うことが出来ます。また、見えることにより気付きを得られやすくなります。いきなり目に見えている課題に取り組むのではなく、まずは業務の見える化により現状把握から始めてみてはいかがでしょうか。

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