kintoneに強く改善を期待するポイント|あとちょっと手が届いてほしい点

クラウドIOT

【変更履歴】
2020.06 2020年7月版のkintoneアップデートで対応された分を反映
2023.10 2023年10月版のkintoneアップデートで対応された分を反映

2019年後半頃から、アプリを作成するユーザ側の目線に立ったkintoneアップデートが多くされるようになってきたと感じています。アップデートによってkintoneがさらに使いやすく進化していますので、サイボウズにはこの流れを途切れさせないように、有益なアップデートの継続を今後も大きく期待しています。

特に記事投稿時点(2020年2月)でアップデートでうれしかったのが、IF関数の実装です。2020年1月のkintoneアップデートの中の一つですが、この関数があるだけで大きく使い勝手が変わってきます。これまでカスタマイズで判断する必要のあった部分がkintone標準機能でもできるようになったので、応用範囲がとても広がったように感じます。

とはいえ、「kintoneのココがイマイチ!もっとこうなってほしい!」というのはまだまだ色々とあります。kintoneを使っていけばいくほど、このように思う部分が色々と溜まってきます。

そこで今回は、kintoneに強く改善を期待するポイントとして、私個人が普段から思っている(思っていたけれど仕様と思ってあきらめていた)点をまとめてみました。

これから挙げる内容については、今後のアップデートで改善されてくれると嬉しいものばかりかなと思います。個人的に特に改善してほしいものから順にまとめてみました。

検索キーワード入力時の仕様をシンプル化してほしい

kintoneを使い始めてからデータ検索でまず躓くのが、「データがあるはずなのにヒットしない」ということです。一覧上にデータが見えている、検索キーワードも間違っていない、だけど検索にヒットしない、というものです。

そこでなぜだろうと思って検索してみると、上記の検索キーワード入力時の注意事項のページが見つかり、「kintoneってこんな検索の仕様だったのか!?」とここで初めて気づきます。

日本語、または中国語で検索する場合
・カナの全角と半角は区別されません。
・指定できる検索キーワードは10個までです。
・2文字以上の単語は、2文字以上のキーワードで検索する必要があります。1文字の単語は、1文字のキーワードで検索できます。
例:「日本語」というキーワードを検索する場合検索可能なキーワード:「日本」、「本語」または「日本語」
検索できないキーワード:「日」、「本」、または「語」

英数字で検索する場合
・アルファベットの大文字と小文字、および全角と半角は区別されません。
・指定できる検索キーワードは10個までです。
・単語単位で検索されます。
例:値が「cybozu kintone2」のフィールドを検索
「cybozu」または「kintone2」をキーワードとして指定します。「cy」や「kintone」など部分一致する検索キーワードでは検索されません。
「cybozu」で1単語、「kintone2」で1単語、とカウントします。「cybozu kintone2」で検索すると、2単語の検索となります。
「_(アンダーバー)」と「#(シャープ)」は、全角、半角共に単語の一部とみなされます。
例:値が「cybozu_kintone」のフィールドを検索する
「cybozu_kintone」をひとまとまりでキーワードとして入力します。「cybozu」や「kintone」のみを入力しても検索されません。

記号で検索する場合
・全角と半角は区別されません。
・指定できる検索キーワードは10個までです。
・次の記号は検索キーワードから除かれます。日本語、および中国語の句読点
全角、および半角の次の記号
– & | / ! ( ) { } [ ] ^ ” ~ * ? : ; \ $ % @ ‘ ` = < > , .
上記以外の記号も、検索キーワードから除かれる可能性があります。

kintoneヘルプより引用

これ、初見では覚えられません。

私の場合にお客様と良くあったのが、次の流れです。何度このやり取りをしたかわからないぐらいです。


私:検索についてはこうこうこういう(使いづらい)仕様になっているんで気を付けてくださいね。
お客様:ふーん、了解。

~お客様が使い始める~

お客様:検索しても出てこないよ、データはあるのに!
私:(検索の仕様を再度説明)
お客様:なんでこうなってるの?使いづらい!
私:ホントにそうですよね(完全同意)


検索時の使いづらい・分かりにくい点は次に集約されると思います。

  • 日本語、英数字、記号で仕様が統一されていないため分かりにくい
  • 1文字検索をできると思っていたらできない
  • 英数字は単語単位で指定する必要があるため使いづらい
  • 日本語、英語、記号の仕様を間違って覚えてしまいがち

kintoneの裏側の事情を考えるとこのような仕様にせざるを得ない状況なのかもしれませんが、ユーザ側にとってこの仕様はかなり混乱をきたしますね。これが、

日本語・英数字・記号問わず、全て2文字以上で検索可能

となるだけで大分すっきりとシンプルになります。是非ともこうなってほしいです。(できれば1文字検索できるといい)

※参考:この部分についてはプラグインで解決することも可能です。

1文字・部分一致検索プラグイン
kintoneプラグイン『機能拡張スタンダード All-In』

ルックアップ画面に簡易絞り込み機能が欲しい

ルックアップフィールドはkintoneアプリを使う上で無くてはならない機能ですが、正直条件を絞り込むまでの操作が多くて使いづらいです。

記事投稿時点で、ルックアップの取得ボタンを押すと次のようなウィンドウで一覧で表示されます。

ルックアップの取得ボタンをクリック時の表示されるダイアログ

一覧上から選べればいいのですが、データ量が多いような場合はスクロールするだけで大変です。さらに絞り込みするためには、

  1. 一覧左上の検索アイコンをクリックする
  2. フィールドを選ぶ
  3. 条件を選ぶ
  4. 条件値を入力する
  5. 適用ボタンをクリックする

という作業が必要になります。

この操作がものすごくめんどくさい

色々なフィールドを条件に検索できるので柔軟度は高いとは思うのですが、簡単さで言うと今一つという感じです。

これが例えば次のように、簡易検索窓が用意されているだけでも大分違うと思います。ここに入力すると、一覧で表示している項目を部分一致検索するようなイメージです。

ルックアップウィンドウの簡易検索窓の追加案

今後の改善に期待です。

もう1つ、ルックアップではレコード内のフィールドを条件にした動的絞り込みができません。レコードの値によってルックアップで表示される候補を絞りたいなと思ってもできないため、ここも対応してくれるとうれしい部分です。

ルックアップでフィールドを条件にできない

※参考:プラグインで解決することも可能です。

kintone ルックアップ動的絞り込みプラグイン
ルックアップ拡張プラグイン
ルックアップ選択条件プラグイン

IF関数をもっとつかえるように部分一致検索してくれる関数が欲しい

IF関数が追加されたことで、kintoneである値を元に条件を分けて値を表示させることが可能になりました。AND、OR関数などと組み合わせれば、さらにもっと柔軟に判定をすることができます。

そこでさらにほしいと思ったのが、「文字列が含まれるかどうか」を判別してくれる関数です。数字の場合は不等号で範囲選択させることができますが、文字列の場合はイコールのみの判定となってしまいます。

そこで、「ある文字列が含まれるかどうか」を判別してくれる関数があると、もっと柔軟に使えるようになるのではないかと思います。

数字フィールドに全角数字入れた場合にエラーが出ないようにしてほしい【アップデートにより対応済】

(2023/10/11更新)
2023年10月のkintoneアップデートで対応されました。

数字フィールドに全角の数値(例えば1000)を入れた状態で保存ボタンを押すと「数字でなければなりません。」というエラーとなります。

kintone数字フィールドの数字エラー

メッセージがわかりづらいです

ユーザからすると数字を入れていますので、このメッセージはとても不親切です。数字=半角という前提でのメッセージだと思うのですが、普段の業務で全角数字を使っているようなユーザの場合、このメッセージが出てしまうと「数字を入れているのにどうすればいいの?」となってしまします。

なので、もっとわかりやすいメッセージに対応してくれることを希望します。

もっと言うと、全角数字を入力できないようにする制御を入れてほしいです。実際、インライン編集画面では半角数字以外は入力できないように制御されています。(Chromeで確認)

kintoneインライン編集画面では半角数字以外入力不可

これと同じ動きとなるように編集画面でも対応してくれるだけでも入力ミスを軽減できると思います。 もしくは、保存時に数値フィールドの値は半角数字に自動変換して登録してくれてもいいと思いますね。

※参考:この部分についてはプラグインで解決することも可能です。

自動全角⇔半角変換プラグイン

グラフをクリックした際の遷移先一覧を指定できるようにしてほしい

グラフをクリックすると対象データの一覧が表示されるのは便利でいいのですが、遷移先の一覧を指定することができません。2020年02月の仕様では、一番上の一覧で表示されます。次のような一覧を定義していた場合、一番上にある「自分の案件」という名前で定義した一覧が表示されます

この仕様で何が困るかというと、次の点です。

  • グラフクリック後に表示される一覧項目に、一覧として見たい項目が入っていない場合がある
  • そのため、一番上に定義した一覧は、グラフクリック時の表示にも利用される点を考慮して表示項目を決める必要がある。
  • 一番上に定義した一覧の名前がグラフ表示している条件と違う場合、ぱっと見で戸惑う可能性がある
    (例)グラフで他の人の案件をクリックしたのに、遷移後の一覧で「自分の案件」と表示されていると、なんで?となる場合がある(特にkintoneに慣れていない場合)

グラフクリック時の遷移先の一覧を指定できるようになると良いですね。デフォルトは一番上でいいので、必要に応じて変えられると便利です。

グラフ表示時の数値をカンマ区切りにしてほしい

kintoneに溜めたデータはグラフ化して見える化できますが、2020年02月時点では次のような表示になります。

グラフ表示した際の数値表示

フィールドをカンマ区切り表示にしているのに、グラフではカンマ区切りに表示にならない

グラフにカーソルを合わせるとカンマ区切りで数が表示されるのでこれはいいのですが、

グラフにカーソルを合わせた場合の表示

カーソルを合わせなくてもカンマ区切り表示設定ならばそれを引き継いで表示してほしいところです。

日付フィールドのグラフのラベル表示を変更してほしい【アップデートにより対応済】

(2020/06/26更新)
年、月のラベル表示については、2020年7月のkintoneアップデートで対応されました。

年単位や月単位で表示する場合、

年単位:2020-01-01(1月1日日付)
月単位:2020-02-01(1日日付)

という表示になります。

月単位表示のグラフ例

年単位表示なのに月日が表示されたり、月単位表示なのに日が表示されたりしてしまうと、集計して表示していると思わずにその日としての情報だと勘違いしてしまうユーザの方は多いように感じます。そのため、年単位なら年のみ、月単位なら年月のみを表示してくれるようになると良いと思っています。

FORMAT関数を使用してYYYYのみやYYYYMMのみで表示させることで回避可能ですが、これをやらなくても回避できるなら回避してほしいところです。

日付フィールドの選択肢に年度や半期を追加をしてほしい

グラフで大項目などに日付フィールドを指定した場合、年単位・四半期単位・月単位などを指定することができますが、こう思いました。

年度単位が無い・・・

日付フィールドで集計する際に選択できる単位

なぜ四半期単位の選択肢はあるのに、年度単位の指定がなぜ無いのか。

アプリの設定画面の「高度な設定」には”第一四半期の開始月”を指定できる部分があるので、この情報を用いれば簡単に年度単位の表示もできるのではないかと思います。四半期単位の表示時はここの設定内容を元に集計していると思いますので、同様に年度単位の集計もできるようになってくれると良いですね。

※参考:この部分については、IF文で年度用フィールドに算出したり、プラグインで解決することも可能です。

日付変換プラグイン

計算フィールドを後から追加した場合に初期値も自動設定されてほしい

kintoneは運用後にフィールドの追加削除を簡単にできる点が魅力の1つでもありますが、計算フィールドを後から追加した場合に、フィールドは追加されますが値が空欄となっています。

値が自動計算されるフィールドは、フィールド新規追加時に初期値も入って欲しい

フィールド追加直後は値が入っていないため、初期値を設定するための作業が必要になります。編集画面を開いて保存するというのが一番簡単なやり方ですが、レコード数が多い場合はその作業はやり切れません。なので、「ファイルに書き込む」&「ファイルから読み込む」にてレコード番号をキーにあるフィールドを一括更新することで自動計算フィールドに値を反映するという作業を行う必要があります。

正直、この作業は無駄以外の何物でもないと思っています。追加した自動計算フィールドに値が入っていない状態があるということ自体、あり得ないのではないかと思うためです。

そのため、自動計算フィールドを追加したら、値も合わせてセットした状態になると良いですね。

自動計算するを指定しても値の重複を禁止する設定をできるようにしてほしい

アプリ内でユニークなキーを設定する場合、フィールドの「値の重複を禁止する」にチェックを入れることで自動チェックを入れることができます。

文字列(1行)の値の重複を禁止する

ただし、「自動計算する」にチェックを入れている場合、「値の重複を禁止する」が無効化されます。

文字列(1行)の自動計算するにチェックを入れた場合

そのため、自動計算しているフィールドは、値の重複を禁止するという設定ができません。

アプリ内で複数のフィールドをユニークキーとして設定したいような場合、上記仕様によりできません。そのため

自動計算するを指定しても値の重複を禁止する設定をできる

ようになれば良いのかなと思います。

アプリ内の複数フィールドをキーにしたい場合、カスタマイズで対応することも可能ですが、プラグインでも実現することができます。フィールドを結合するプラグインがあるので、プラグインで結合した値を格納するフィールドに対して「値の重複を禁止する」の設定をすれば、やりたいことが実現できます。チェックしてくれるプラグインもあるので、こちらも参考になりそうです。

文字列編集・連結プラグイン
レコード重複チェックプラグイン

追加画面・編集画面表示時にテーブル操作を不可にする制御を入れてほしい

追加ボタンや編集ボタンで画面を表示する際、次のような動きになっています。

  1. テーブルの内容が描画される
  2. JavaScript APIの表示イベントが起動する

表示イベントでテーブル内フィールドに対して入力できないような制御をかけていたとしても、テーブル行数が多いような場合はイベント発生まで時間がかかるため、その間にユーザによってテーブルの内容を書き換えられてしまうことも可能となります。

そのため、

テーブルの描画中は画面を操作できないようにする

といった制御があるとうれしいです。もしくは、表示イベントが先に動くような形になるといいですね。

テーブル内フィールド、ラベルの表示・非表示制御をできるようにしてほしい【アップデートにより対応済】

(2020/05/20更新)
テーブル内のフィールドについては、2020年6月のkintoneアップデートで対応されました。

投稿時点(2020年2月時点)では、テーブル内フィールドとラベルに対しての表示・非表示の制御をJavaScript APIで実現することができません。そのため、実現するにはDOM操作を行う必要があります。

JavaScpirt APIで対応してくれるようになるとうれしいですね。

※参考:テーブルのフィールドについては、プラグインで対応可能です。

フィールド非表示プラグイン
kintoneフィールド非表示プラグイン
kintone 項目非表示プラグイン

ラベルとリッチテキストフィールドの設定画面の幅を広くしてほしい【アップデートにより対応済】

(2020/03更新)
この要望は2020年4月のkintoneアップデートで対応されました。

ラベルとリッチテキストフィールドの設定画面を表示すると、次のようになっています。

ラベルの設定画面

リッチエディターの設定画面

入力欄が狭い!

両方に共通しますが、入力欄が狭いのです。しかも、入力のテキスト欄の幅の変更ができないため、さらに使いづらくなっています。

横に長くなってほしいですね。イメージ的にはリッチエディターを編集画面で表示したときのような形で設定画面でも編集できると良いかと思います。

まとめ

kintoneに強く改善を期待するポイントを要望の強い順にご紹介しました。今後のアップデートでこの中のどれかが対応されていくとうれしいです。

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