出退勤の管理をExcelからkintoneに変えて効率化した福島県二本松市の弊社お客様の事例について、本記事では詳しくご紹介したいと思います。
目次
カスタマイズで打刻画面を作成した背景
kintone標準機能でも登録処理は行えるのですが、次の理由により打刻画面はカスタマイズで構築を行いました。
社員全員がkintoneアカウントを持っていない
kintoneの利用者は一部の社員に限定していたため、全社員がkintoneのアカウントを持っているわけではありませんでした。
また、出退勤管理の対象は社員だけではなく、パート・アルバイトなどの時間給の方も対象となっていました。
そのため、kintoneで出退勤を行うためには、出退勤用に1つ共用で使用するアカウントを設け、それを用いて打刻の処理を行う必要がありました。
PC操作スキルの問題
社員全員がパソコンを使う仕事ではないため、パソコンの操作自体を行う機会のない方も多くいました。また、パソコンが全社員に配布されいるわけではないため、会社内の特定の場所に置いたPCで打刻処理を行う必要がありました。
そのため、kintoneの画面から入力する方法だと、
- そもそも操作を覚えること自体がハードルが高い(一覧画面から自分の名目を見つけて詳細画面を表示し、編集ボタンを押して、対象日に日付を入れて、勤務形態を入れて、保存ボタンを押して・・、というのが難しい)
- 操作ミスが発生する可能性が大きい
- 登録自体に時間がかかってしましまう
という懸念があり、簡単に行えることが第一に求められていました。
出退勤アプリの画面イメージ(タイムカード)
出退勤アプリの画面イメージは次のようなもので、カスタマイズで出退勤処理を行えるような形で構築を行いました。

モザイクをかけている部分が人の名前になっています。
操作としては次の通りです。パソコン操作に慣れていない方でも行えるようにしています。
<出勤時>
- 自分の名前をクリックする。
- 出勤ボタンをクリックする。
- ダイアログが表示されるので、勤務形態を選択する。
<退勤時>
- 自分の名前をクリックする。
- 出勤ボタンをクリックする。
- ダイアログが表示されるので、外出時間を入力する。
出勤・退勤のボタンをクリックした後はダイアログが表示されるので、後はそれに沿って選択していけば完了するようにしました。
出退勤アプリの構成
打刻用の画面は上記の通りカスタマイズで作成しましたが、データとしては次のように、月度+社員で1レコードとなるような構成となっています。

テーブル内は日付ごと1行となっており、出勤時間、退勤時間、休憩時間、外出時間など必要な情報を格納するフィールドが定義されています。
打刻処理をするとAPIを用いてテーブル内の該当日のデータが更新されますので、従業員はこの画面から登録することは行いません。
打刻漏れが発生しているような場合に、確認担当の経理が対象者へ時間を確認し、この画面でメンテを行います。
出退勤アプリの工夫点
基本的な機能は上記の通りですが、管理のしやすさを向上させるために次の処理を合わせて入いれました。
休日・祝日・休業日を別アプリに設定
出退勤アプリで休みの日を管理するために、休日・祝日・休業日用のアプリを作成し、そのアプリから休みの情報を読み込むようにしました。
この情報を元にひと月分の労働時間や休日数を計算するようにしています。

翌月度データの一括生成
1レコードが氏名+月度となっているため、毎月データを経理では作成する必要がありました。
kintoneでは「レコードの再利用」の機能があるため、当月分のデータをコピーして翌月度に変えて保存する、ということを行えばある程度データを作るのも簡単ですが、これを毎月従業員の数だけ行うのは手間がかかります。
そこで、レコード一覧画面上に、一括生成処理を行うボタンを作りました。

ボタンをクリックすると次のようなダイアログが表示され、ここで月度を指定すれば全従業員分のレコードが生成されます。

打刻漏れチェック機能
簡単に出退勤の打刻をできるようにしたとしても、打刻漏れというのは必ず発生します。
そこで、一覧画面表示時に前日以前のデータに対して打刻漏れがないかをチェックするような処理を入れました。

基本的な運用としては、経理担当者が毎朝、レコード一覧を表示します。
このエラーダイアログが出た場合、前日の打刻処理に何かしら入力漏れや入力内容に誤りがあるので、対象者に確認してデータを更新していきます。名前をクリックすると編集画面が表示されるようにしています。
毎日確認することで、修正対象データ量を減らすとともに、従業員へ毎日忘れずに打刻することの意識付けを行っています。
まとめ
出退勤アプリのサンプルをご紹介しました。
今回はkintoneをご利用のお客様の都合によりカスタマイズで実現した部分が多かったのですが、その分、これまでより入力しやすくなったり、集計作業自体が減って助かったというお声をいただいています。
利用状況次第では休日申請等と連動させてみてもいいかもしれません。