近年、多くの企業で「DX(Digital Transformation)」が推進されています。DXとは、デジタル技術を活用して業務改革を行うことを指します。
DXは、顧客対応や営業といったフロントオフィスの業務ばかりではなく、バックオフィスの業務にも大きな影響を与えています。
今回は、中小企業の経営層向けに、バックオフィスのデジタル化についてより詳しく解説します。
バックオフィスのデジタル化とは?
バックオフィスのデジタル化とは、これまで手作業で行っていた事務作業などを、デジタル技術を活用して自動化することです。具体的には、以下のような業務が対象となります。
請求書処理
- 紙の請求書をスキャンしてデータ化
- 請求書データの自動照合
- 支払処理の自動化
経理処理
- 会計ソフトへの自動入力
- 決算書の自動作成
- 税務申告書の自動作成
人事処理
- 勤怠管理
- 給与計算
- 人事評価
データ入力
- 顧客情報
- 商品情報
- 注文情報
資料作成
- 報告書
- 提案書
- プレゼンテーション資料
ファイル管理
- 電子ファイルの整理
- アクセス権限の設定
- セキュリティ対策
これらの業務をデジタル化することで、以下のようなメリットを得ることができます。
業務効率化
- 手作業によるミスやムダを減らし、作業時間を短縮することができます。
- 人為的なミスによるデータ入力ミスを減らし、データの正確性を向上させることができます。
- 処理速度が向上し、業務のスピードアップを実現することができます。
コスト削減
- 人件費や時間コストを削減することができます。
- 紙の書類や印刷コストを削減することができます。
- オフィススペースを有効活用することができます。
コンプライアンスの強化
- データ管理を徹底することで、情報漏洩などのリスクを低減することができます。
- 監査対応を容易にすることができます。
従業員の働き方改革
- 単純作業から解放することで、従業員の創造性や生産性を向上させることができます。
- テレワークやフレックスタイム制などの導入を促進することができます。
経営の透明化
- データに基づいた意思決定が可能になります。
- 経営状況をリアルタイムで把握することができます。
バックオフィスのデジタル化の具体的な方法
バックオフィスのデジタル化には、さまざまな方法があります。以下に代表的な方法をいくつか紹介します。
RPA(Robotic Process Automation)
ロボットのようなソフトウェアを使って、人間の作業を自動化する方法です。具体的には、以下のような作業を自動化することができます。
- データ入力
- ファイル操作
- システム操作
- メール送信
RPAは、比較的導入が容易で、すぐに効果を実感できるというメリットがあります。
クラウドサービス
会計ソフトや人事ソフトなどの業務アプリケーションをクラウド上で利用する方法です。具体的には、以下のようなサービスがあります。
- 会計ソフト:freee、マネーフォワードクラウド
- 人事ソフト:カオナビ、マネーフォワードクラウド人事
- 請求書処理ソフト:freee請求書、マネーフォワードクラウド請求書
クラウドサービスは、初期費用が抑えられ、場所や時間に縛られずに利用できるというメリットがあります。また、各サービスの連携機能を使って同じ内容の二度打ちをなくすなど業務の効率化にも繋がります。
AI(人工知能)
データ分析や予測分析など、高度な作業を自動化する方法です。具体的には、以下のような作業を自動化することができます。
- 顧客分析
- 需要予測
- 詐欺検知
AIは、高度な分析機能によって、新たなビジネスチャンスを発見したり、リスクを回避したりすることができます。
IoT(モノのインターネット)
センサーや機器をインターネットに接続することで、データ収集や自動化を実現する方法です。具体的には、以下のような作業を自動化することができます。
- 在庫管理
- 設備管理
- 省エネ
IoTは、リアルタイムなデータ収集によって、業務の効率化やコスト削減を実現することができます。
これらの方法を組み合わせることで、より効果的なバックオフィスのデジタル化を実現することができます。
中小企業におけるバックオフィスのデジタル化の課題
中小企業にとって、バックオフィスのデジタル化にはいくつかの課題があります。
コスト
RPAやクラウドサービスなどの導入には、初期費用やランニングコストがかかります。中小企業にとっては、これらのコストが大きな負担となる可能性があります。
人材
デジタル技術を活用するためには、ITスキルを持った人材が必要です。中小企業では、IT人材の不足が課題となっています。
セキュリティ
デジタル化によって、情報漏洩などのリスクが高まる可能性があります。中小企業は、セキュリティ対策に十分な投資をする必要があります。
経営者の意識
バックオフィスのデジタル化を成功させるためには、経営者の強いコミットメントが必要です。経営者がデジタル化の重要性を理解し、積極的に推進することが重要です。
社内体制
デジタル化を推進するための社内体制を整備する必要があります。具体的には、以下のような体制が必要です。
- DX推進委員会
- IT部門
- セキュリティ対策チーム
これらの課題を克服するためには、政府や自治体の支援制度を活用したり、ITコンサルタントなどの専門家に相談したりすることが有効です。
中小企業向けの補助金制度
中小企業向けには、バックオフィスのデジタル化を支援する補助金制度もあります。代表的な制度は以下の通りです。
- IT導入補助金:2024年度のIT導入補助金の公募が行われています。クラウド会計サービスを始め、生産性向上のためのITツール導入に対して補助が行われます。
https://it-shien.smrj.go.jp/
また、都道府県や市区町村単位でもデジタル化を推進するための補助金・助成金などがある場合があります。
これらの支援制度を活用することで、中小企業でもバックオフィスのデジタル化を推進しやすくなります。
まとめ
バックオフィスのデジタル化は、中小企業にとって大きなチャンスです。今回紹介した内容を参考に、自社に合った方法でバックオフィスのデジタル化を推進し、経営の効率化と成長を目指してください。