最近のWindows11 24H2のアップデートを適用したあと、「NAS(ネットワークHDD)にアクセスできなくなった」というお問い合わせが増えています。
特に社内のファイル共有やバックアップにNASを利用している環境では、業務に支障をきたすことも…。
そこで、今回はそんなトラブルに対して有効だった2つの対処法をご紹介します。
✅ 1. ゲストログオンを許可する
NASにアクセスする際、Windowsの設定によっては「ゲストログオン」がブロックされてしまい、アクセスエラーが出ることがあります。
以下の手順で、ゲストログオンを有効にしてみましょう。
キーボードで Windowsキー + R
を同時に押して「ファイル名を指定して実行」を開く
gpedit.msc
と入力し、Enter

ローカルグループポリシーエディターが開いたら、次の順に展開
→ コンピューターの構成
→ 管理用テンプレート
→ ネットワーク
→ Lanman ワークステーション

右側の「安全ではないゲストログオンを有効にする」をダブルクリック
「有効」にチェックを入れて [OK]
PCを再起動し、NASへ再度アクセス
※ もしまだ繋がらない場合は、NASやサーバー側に古いセッション情報が残っている可能性があります。少し時間を空けて再試行するか、NAS側の再起動も検討してください。
セキュリティ面の注意
この設定を有効にすると、パスワードなしでのNASアクセスが可能になる場合があります。
セキュリティ上のリスクが高まるため、社内LANなど信頼できるネットワーク環境のみで利用するようにしてください。
✅ 2. 通信時のデジタル署名を無効にする
上記設定をしても改善しない場合は、Windowsのセキュリティ設定が原因かもしれません。
デジタル署名の設定を無効にしてアクセスできるようにしてみます。
再度 Windowsキー + R
→ gpedit.msc
と入力して実行
以下の順に展開
→ コンピューターの構成
→ Windowsの設定
→ セキュリティの設定
→ ローカルポリシー
→ セキュリティオプション
「Microsoft ネットワーク クライアント:常に通信にデジタル署名を行う」をダブルクリック
「無効」にして [OK]
警告が出た場合は [はい] をクリック
PCを再起動し、NASへの接続を確認
※ こちらも同様に、NASやサーバー側の再起動が必要な場合があります。
セキュリティ面の注意
この設定は、通信の改ざんやなりすましを防ぐためのセーフガードを無効にするものです。
安全性とのバランスを考慮し、一時的な対処とするか、必要に応じて元に戻す運用をおすすめします。
✅ 補足:IPアドレス指定での個別接続(資格情報の設定)
上記の方法でもNASに接続できない場合は、ネットワークドライブの割り当て時にIPアドレスを直接指定し、資格情報を設定する方法も有効です。
💡 ドライブ文字(Z: や Y: など)の選び方
- どのドライブ文字でも構いませんが、未使用の文字を選んでください
→ 他のアプリやUSB機器と重複しないように注意しましょう - 社内で運用ルールがある場合(例:「Z:=ファイルサーバー」など)はそれに従ってください
🔧 設定手順:
エクスプローラーで「PC」を右クリック →「ネットワークドライブの割り当て」を選択
「ドライブ」欄から、使用したいドライブ文字(例:Z:)を選択
「フォルダー」欄にNASのIPアドレスを入力(例:\\192.168.1.100\共有フォルダー名
)
「別の資格情報を使用して接続する」にチェックを入れる
「完了」をクリック
ユーザー名に「admin」、パスワードを入力し、「資格情報を記憶する」にチェック
必要に応じて「参照(B)」ボタンを使って共有フォルダーの存在を確認
この方法は、PCごとに個別にアクセス許可を与えられるため、NASやサーバーの再起動も不要です。また、不正アクセスリスクも軽減されます。作業時間はおよそ5〜10分程度です。
まとめ
Windowsのアップデートはセキュリティ面の強化と引き換えに、従来の接続設定と衝突することがあります。
もしNASが突然使えなくなった場合は、今回のような設定変更で解消できるかもしれません。
ただし、利便性と引き換えにセキュリティリスクが高まる可能性があるため、
一時的な対処として設定を変更し、恒久的な対応としてはSMB2以降への移行やNASのセキュリティ設定の見直しも検討してください。
わからないことがあれば、お気軽にご相談くださいね!