新元号(和暦)に向けてのAccessシステムの日付項目への対応検討のすすめ

階層

平成もいよいよ残り僅か(執筆の2018年5月時点)、新元号への切り替えも近づいてきました。元号が変わることで大きな影響を受けるのが、和暦を使っているシステムではないでしょうか。特に中小企業では昔作ったAccessシステムを数十年継続的に利用されているところも多いため、古いバージョンのPCやAccessを使い続けており、元号が切り替わったタイミングでシステムのほうも和暦表示が変わってくれるのか疑問な部分が多いです。

そこで今回は、Accessで作成されたシステムを利用されている場合に特化し、新元号に向けて自社のシステムへの影響があるのどうか、どのような事前対応を考えていく必要があるのかについて整理してみました。

Accessシステムでの和暦表示

そもそもとして、システムで表示している日付が和暦なのは、日付の書式変換(フォーマット変換)が働いているためです(標準の日付表示は西暦)。主な書式設定としては、次の2つがあります。

西暦:YYYY”年”MM”月”DD”日” (例)2018年05月31日

和暦:GGGE”年”MM”月”DD”日” (例)平成30年05月31日

和暦の「GGGE」の部分は日本特有のものですので、ここが新元号への切り替えに伴い気になる部分です。現在(2018年5月執筆時点)使われているPCやAccessには、新元号の情報は当然持っていません。

Accessで新元号に対応されるのか

新元号(和暦)の情報については、マイクロソフトから修正プログラムが配布されることで、各PCやAccessにて新元号が使えるようになります。ただし、それはメインストリームが続いている(サポートが続いている)バージョンのAccessの場合のみである想定されます。メインストリームが終了(サポートが終了)した古いバージョンのAccessについては、セキュリティ以外の更新プログラムの提供が終了していますので、新元号へ対応する更新プログラムは提供されないと考えほうが良いかと思います。(もしかすると古いバージョンも対応してくれる可能性は0ではありませんが、限りなく0に近いと想定されます。)

新元号への影響がある場合と影響内容

影響が懸念されるケース

では、どのような場合に新元号に影響があるのでしょうか。次のような場合には影響があると考えたほうが良いでしょう。

  1. メインストリーム切れのOSを使用している
  2. メインストリーム切れのAccessを使用している
  3. インターネットとは切断された環境でAccessを使用している

中小企業においては、特に1と2についてシステムを動かすために仕方なく古いバージョンを使い続けている場合や、動くから問題ないだろうとサポート期間を意識することなく使い続けていた結果そうなっていた、というケースが多いです。

サポート期間については下記を参考にしてください。延長サポート中はおそらく問題ないと思いますので、次の場合はサポート切れで影響があるでしょう。

  • Windows Vista以前のOSを使用している(Windows Vista、Windows XP、Windows 2000、Windows Me、Windows 98等)
  • Office2007以前のバージョンのOfficeを使用している(Office 2007、Office 2003、 Office 2000等)

OSのサポート期限

Officeのサポート期間

参考:AccessとWindowsのバージョンの組み合わせによる日付の令和表示可否の違い

影響の内容

影響の内容は単純で、存在しない元号で日付が表示されてしまうというものです。ケースとしては大きく2つあるかと思います。

  1. 平成40年5月30日(元号が切り替わっているのに平成を使い続けている)
  2. 平成29年12月10日(元号が平成29年の7月1日から変更になっている場合、間違った元号を使っていることになる)

元号の切替が1月1日からとは限らない点、あと1年もすれば切り替わるという点を注意しておきたいです。

新元号の公表は2019年2月24日以降、天皇陛下の退位は2019年4月30日と見込まれています。

(2019/01/10更新)新元号の発表は2019年4月1日予定となったようです。
(2019/04/01更新)新元号は令和となったようです。

新元号(和暦)への対応案

新元号への影響がある場合、どのような対応方法があるでしょうか。いくつか案を挙げてみました。

手書きで修正する

一番簡単なのは、印刷した紙を手書きで修正するということです。しかし、これを継続的に行っていくのは現実的ではありませんので、新元号切り替えに間に合わない場合の暫定的な対応として考えたほうがいいでしょう。

最新のOS・Officeを使用する

メインストリームでサポートしているOSやOfficeにバージョンアップすることが一番です。サポート切れの製品を使用するのはセキュリティリスクが大きいため好ましい状態ではありません。最新にすることでその点が解消され、新元号への対応も自動的にされるようになります。しかし注意していただきたいのは、最新バージョンのOSやAccessでシステムが正常に動くのか動作確認が必要、という点です。単にOSやOfficeにバージョンアップすれば完了ということではありません。古いOS/Accessで動いているシステムが最新バージョンで動くかは保障されていませんので、動作確認や場合によっては動くように改修するといったことが必要になります。特に古いシステムの場合は仕様書が残っていない場合が多く、調査や検証に多くの時間がかかるでしょう。

参考:システム継続利用のためにAccessをバージョンアップする際の7大ポイント

西暦表示に変更する

和暦表示をしているために影響があるので、日付の書式を西暦にすると問題は解決します。システム改修は書式部分のみで難易度は低いですが、日付を使用している箇所を全て洗い出して対応する必要があります。また、この方法はAccessのバージョンを変えないでの対応案であるため、古いバージョンで作られたシステムを改修できる場合は有効な施策です。

ただし、どうしても和暦表示である必要がある場合はこの方法はNGです。

日付を手入力する

Accessで日付用の項目を使用しているためにそのフィールドに対しての書式設定で影響が出ていますので、日付項目を全て文字で入力するように変更するという案です。ただし、単純に日付項目を削除して文字項目にするのはシステム全体に影響してしまうためNGです。例えば、次のような対応が考えられます。

  1. 日付を登録するような画面に、「手入力用日付」の項目を1つ追加する。
  2. 「手入力用日付」項目には、和暦で表示する。
  3. 帳票などで日付を使う箇所に対して、今まで使用していた日付項目ではなく、「手入力用日付」項目を表示するように変更する。
  4. 今まで使用していた日付項目は、書式を和暦から西暦に変更する

とはいえ、日付の二重入力が必要になる点がネックなため、現実的ではないかもしれません。

和暦変換用テーブルを用いて変換する

西暦日付が何年の和暦日付に対応するかのテーブルを作成し、それを元に変換表示させる方法もあります。

新元号は「令和」|マイクロソフトのパッチに頼らずにAccessで新元号を表示する方法

システムの切り替えを考える

その他のパッケージソフトやクラウドサービスで構築しなおすというのもひとつの方法です。システムがAccessである必要があるのかを考え直します。特定の機能しか使用していなかったり、使いづらい部分を仕方なく使っていたというようなことがあるようであれば、新元号の切り替えを機に刷新してみるのも良いでしょう。多機能で複雑なシステムよりは必要最低限のシンプルなシステムをお勧めします。kintoneなどは業務に合わせてシステムを作れるため活用できるかと思います。

新元号(和暦)に関するマイクロソフトの最新情報

マイクロソフトの新元号(和暦)対応についてはブログが存在するようですので、以下サイトを確認していくと良いでしょう。

日本マイクロソフトの新元号 (和暦) 対応に関するサポート情報ブログ

2019 年 5 月の新元号への変更に関する更新

まとめ

新元号の切り替えによりシステムで和暦表示に影響がありそうな場合、早めに対応を考えていく必要があります。システム改修をするにも対応するための時間はかかりますので、余裕を持って対応の判断をしていくのが良いかと思います。また、これを機にAccessシステムをクラウドなどの最新サービスに切り替えていくことを考えるのも良いでしょう。

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